大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)111 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

論旨一について。

所論上告人の主張のごとき特約締結の事実は、上告人のした本件賃貸借解約申入

に、借家法一条ノ二の正当の事由があることの一事情として主張されたにすぎない

ものであつて、本訴請求が右特約の履行を求める趣旨でないことは明白であるばか

りでなく、仮に右特約が存在したとしても、その約旨は、係争家屋の明渡につき条

件ないし不確定期限を附したものであり、しかもその条件の成就ないし期限の到来

は、一にかかつて上告人即ち賃貸人側の事情に基くものであつて、かかる特約は借

家法六条に所謂「賃借人に不利なもの」に該当し、これをなさざりしものとみなさ

れるのであるから、原審が右事実の有無を認定せず、また右事実を、本件賃貸借解

約申入の正当性の有無を判断するにつき斟酌しなかつたからといつて、所論のよう

な違法は認められない。それ故、所論は採るを得ない。

同二について。

原審認定の事実関係の下においては、本件賃貸借解約申入当時に存在した事情の

みによつても、その申入につき、借家法一条ノ二の正当の事由ありとなしがたいと

した原審の判断は是認できる。そして論旨にいうような右解約申入後の事実につき

原審がその認定をなさず、これを正当の事由の有無の判断に際し斟酌しなかつたか

らといつて、結局右原審の判断を違法たらしめるものとは認められない。それ故、

所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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